幻のもち米について

ミタニモチ物語

kakimochi

鳥取市街よりほど近い美歎地域は、約70戸余りの小さな集落。

集落には、美歎神社、腰折り地蔵、すずめ観音のほか、
五体観音様の観音堂、伊福部徳足比売の姫塚、
重要文化財の美歎水源地などがある。

また、無形民俗文化財である因幡の傘踊り継承地としても有名である。

美歎(ミタニ)地域産のもち米は俗に「ミタニモチ」と言われ、
50年以上前に集落に導入されて生産されるようになったが、
現在は原産地等不明である。

原産地等が不明になった経緯には、興味深い話がある。

戦後美歎集落では、たくましい女性たちが、
自家栽培した野菜や花、味噌などをリヤカーに載せて、
街や地域に引き売りをしていたが、農閑期には正月飾りの
しめ縄飾りなどの藁細工を作り、販売していた。

ミタニモチは草丈が長く、細く、柔らかいため、
倒れやすく栽培が難しい。

しかしこういった特色が藁細工に適している事から、
栽培が始まった。

更にこのもち米で作った餅は、食味が良く、
柔らかく、よく伸び、美味しいと集落では評判になった。

しかし、小さな集落では栽培出来る量が限られている。

この美味しい餅を外に売りに行ってしまうと、
自分たちが食べられなくなってしまう。

その為、美歎集落の人々はミタニモチを外部に出すことはせず、
密かに栽培し、その餅を「ナイショのご馳走」として毎年食していた。

その結果、ミタニモチの原産地等を知る人は減っていき、
現在では「幻のもち米」となったのである。

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